空室対策リフォームの費用対効果|家賃アップにつなげる判断軸

空室対策の賃貸リフォームを検討するために並べられた床材サンプル、間取り図、見積書、電卓と室内のキッチン・浴室

住む人の気持ちを考えて空室を満室経営へ導く、(一社)空室対策協会代表理事・空室対策コンサルタントの山岸加奈です。

今日は、空室対策のリフォームで「どこにお金をかけるべきか?」というお話をします。

突然ですが、100万円かけてキッチンを新しくしたのに、家賃は3,000円しか上がらなかったとしたら、あなたはどう感じますか? 年間の家賃アップは36,000円。100万円を回収するには、単純計算で約28年もかかってしまいます。

ところが、15万円で壁紙や照明を工夫して、家賃を5,000円上げられたとしたらどうでしょう。こちらは約2年半で回収できる計算になります。

100万円かけた工事より、15万円の工事の方が、賃貸経営にとって良い投資になる可能性があるんです。

もちろん、これは分かりやすくするための計算例で、工事をすれば必ず家賃が上がるという意味ではありません。でも、こうして数字を比較してみると、リフォームにかける費用と、そこから得られる収入を考えることの大切さが分かりますよね。

空室が長くなると、「そろそろ大きなリフォームをしないと決まらないかな」と考えてしまう大家さんもいらっしゃいます。私も新米大家だった頃、大規模修繕やリフォームにお金をかけても、なかなか内見者が来ない経験をしました。

だからこそ、今の私が大家さんにお伝えしたいのは、工事の金額を決める前に、「誰に貸すのか」「いくらの家賃で貸せそうか」を考えてほしいということです。

今回は、空室対策リフォームの費用対効果の考え方から、築古物件で差をつける工夫、実際に家賃アップにつながった事例までお伝えします。あなたの物件なら、どんなリフォームが必要なのか、一緒に考えていきましょう!

この記事のポイント
✔︎ リフォームしても空室が埋まらない理由
✔︎ 工事費と家賃アップから回収期間を計算する方法
✔︎ 費用をかけるべき工事と後回しにできる工事
✔︎ 築古物件で家賃アップを目指す具体的な方法

目次

リフォームしても空室が続く理由

「きれいにリフォームしたのに、どうして入居が決まらないんだろう?」

大家さんにとって、これほど残念なことはありませんよね。せっかくお金をかけたのですから、早く入居してもらいたいですし、できれば家賃も上げたいところです。

でも、リフォームをすれば必ず入居が決まるわけではありません。そこには、工事を始める前に知っておいてほしい理由があるんです。

きれいな部屋と選ばれる部屋は違う

例えば、家賃3万円台のワンルームに、高級なシステムキッチンを入れたとします。見た目は立派になりますし、大家さんとしてもうれしいでしょう。でも、そのお部屋を探しているのが、家賃を抑えたい学生さんだったらどうでしょうか。

学生さんにとっては、キッチンの豪華さよりも、インターネット環境や防犯設備、毎月の家賃の方が大切かもしれません。逆に、自炊が好きな社会人や新婚夫婦なら、キッチンの使いやすさに価値を感じる可能性があります。

つまり、同じリフォームでも、住む人によって価値が変わるということです。

私はイタリアで建築や都市計画を学び、お部屋の内装を考えることが大好きです。素敵な壁紙や照明を見ると、今でもワクワクします。でも、賃貸経営では自分の好きなデザインを取り入れるだけでは足りません。

そこに住む人が、どんな毎日を送りたいのか。朝起きてから夜眠るまで、どんなふうにお部屋を使うのか。その暮らしを想像することが、選ばれるお部屋づくりにつながっていくんです。

380万円かけても家賃が変わらなかった

以前、私のブログでご紹介した事例があります。家賃4万円の1DKに、なんと380万円ものリフォーム費用をかけた大家さんのお話です。

フルリノベーションに300万円、インテリアコーディネートに80万円。完成したお部屋は、とても素敵だったそうです。

ところが、380万円かけても、家賃は4万円のままだったんです。

驚きませんか?

もちろん、リフォーム業者さんやインテリアコーディネーターさんが悪いというお話ではありません。素敵なお部屋をつくることと、家賃を上げて投資を回収することは、考えるべきことが違うんです。

工事をする前に、どんな人に貸すのか、周辺の家賃はいくらなのか、完成後にいくらで募集できそうなのか。こうした見通しがなければ、工事費だけが大きくなってしまう可能性があります。

詳しい経緯は、「リフォーム380万費用でも1DK家賃変わらずって(驚)」でもお話ししています。

空室の原因は工事で解決できる?

もう一つ、リフォーム前に確認してほしいことがあります。それは、今のお部屋が空いている原因です。

例えば、ポータルサイトに写真がほとんど掲載されていない物件。写真が暗くてお部屋の広さも伝わらず、問い合わせが来ていない状態だったとします。この場合、100万円かけて室内をきれいにしても、募集写真や掲載情報がそのままなら、入居希望者に魅力が伝わらないかもしれません。

一方、内見には何組も来ているのに申し込みが入らない場合は、設備や内装、家賃とのバランスに問題がある可能性があります。同じ「空室が埋まらない」という状況でも、必要な対策は違うわけです。

ここで考えてほしいのは、「リフォームするかどうか」より先に、「なぜ今、選ばれていないのか」を知ることです。

原因が分かれば、お金をかけずに改善できる部分も見つかるかもしれません。まずは問い合わせや内見の状況を、管理会社さんに確認してみてくださいね。

空室対策のリフォーム費用や賃貸物件の入居者募集について考える大家のイメージ
リフォームの見積もりを取る前に、空室が続いている原因を確認しましょう。

リフォームの費用対効果を計算する

空室対策のリフォームでは、見積書の金額だけを見て「高い」「安い」と判断しないことが大切です。

大家さんが考えたいのは、その工事によって家賃収入がどう変わり、何年で投資を回収できそうかということ。ここからは、具体的な数字を使って見ていきましょう。

家賃アップによる回収期間の計算方法

リフォーム費用の回収期間を考える基本的な計算は、とても簡単です。

家賃アップによる単純回収期間

リフォーム費用 ÷ 毎月の家賃増額分 = 回収に必要な月数

例えば、工事費15万円で家賃を月5,000円上げられた場合は、150,000円÷5,000円=30か月。つまり、約2年半で回収できる計算です。

では、同じように100万円の工事で家賃が3,000円上がった場合はどうでしょう。1,000,000円÷3,000円=約333か月。約27年10か月です。

同じ家賃アップを目指すリフォームでも、投資額によって回収期間にはこれだけの違いが出ます。

比較項目工事A工事B
リフォーム費用100万円15万円
月額家賃の増加3,000円5,000円
年間の増収36,000円60,000円
単純回収期間約27年10か月2年6か月

これは、あくまで工事費と家賃の増額分だけを使ったモデルケースです。実際には空室期間、維持費、修繕費、税金なども考慮する必要があります。

それでも、工事を決める前に一度計算するだけで、「この投資は本当に必要かな?」「もっと少ない費用で同じ効果を目指せないかな?」と考えるきっかけになりますよね。

空室期間を短くする効果も考える

実は、リフォームの費用対効果は家賃アップだけで決まるものではありません。

例えば、家賃5万円の物件で、いつも次の入居まで3か月かかっていたとします。もし改善によって空室期間を1か月に短縮できたなら、2か月分にあたる10万円の家賃収入を得られる計算です。

家賃を上げていなくても、空室期間が短くなれば収益は変わります。ただし、リフォームによって必ず空室期間が短くなるわけではありませんし、工事そのものに時間がかかれば募集開始が遅くなることもあります。

例えば、100万円の工事に2か月かかる場合と、10万円の部分改修を短期間で終えられる場合。どちらが経営にとって有利なのかは、家賃だけでは判断できません。工事期間中に発生する空室の損失も含めて比較したいところです。

何年住んでもらえるかも重要

せっかく工事費を回収できる計算になっても、実際に入居が決まらなければ予定どおりには進みません。また、15万円の投資を2年半で回収する計画なら、家賃5,000円アップで30か月分の収入が必要になります。その間に退去が発生したり、設備が故障したりする可能性もあるでしょう。

反対に、入居者さんがそのお部屋を気に入って長く住んでくだされば、退去に伴う原状回復費や次の入居者を募集する負担を抑えられることもあります。

私は、家賃を上げることだけでなく、住んでからの暮らしやすさも大切にしたいと思っています。入居者さんが喜び、大家さんも安心して賃貸経営を続けられること。それが理想ですよね。

空室対策リフォームの費用対効果と投資回収を考える賃貸経営のイメージ
リフォーム費用と家賃増額分、空室期間を合わせて考えることが大切です。

リフォーム工事は3つに分けて考える

では、どんな工事を優先すればいいのでしょうか。

私がおすすめするのは、工事内容を3つに分けて考えることです。すべてを一度に新しくするのではなく、必要なものを見極めていきます。

安全や生活に必要な工事

まず優先したいのは、入居者さんが安全に暮らすために必要な工事です。例えば、水漏れ、給湯器の故障、危険な電気設備、床の大きな破損など。こうした不具合は、家賃アップにつながるかどうかに関係なく対応する必要があります。

また、退去後の原状回復についても、単純にすべて新品にすればよいわけではありません。工事の必要性や費用負担は、損耗の状態や契約内容によって変わります。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常使用による損耗や経年変化などについて、原状回復の考え方が示されています。

原状回復と、物件の魅力を高めるためのリフォームは目的が違います。見積書を確認するときも、まずそこを分けて考えましょう。

家賃アップや成約につながる工事

次に考えたいのが、入居者さんに価値を感じてもらいやすい工事です。例えば、TVモニターホンや温水洗浄便座、シングルレバー水栓、シャワーヘッドの交換、アクセントクロス、照明の変更などがあります。

これらは、大規模な間取り変更に比べると、比較的少ない予算で検討できる場合があります。ただし、どれも付ければ必ず決まるというわけではありません。

例えば、学生向け物件なら防犯や通信環境、共働き世帯なら宅配ボックス、収納が少ないお部屋なら棚の増設など、住む人によって優先順位が変わります。その設備が周辺物件にも当たり前に付いているのか、それとも競合との差になるのか。ここも確認したいですね。

家賃に反映されにくい工事

最後は、今すぐ行わなくてもよいかもしれない工事です。

例えば、家賃3万円のお部屋に高級なシステムキッチンを入れる、大理石調の高価な内装材を使う、大家さん自身の好みだけで輸入設備を選ぶといったケースです。もちろん、その設備を求める入居者がいて、十分な家賃を設定できる物件なら、投資する価値はあります。

でも、入居者がそこまで求めていないのに、工事費だけが増えてしまったらどうでしょう。賃貸経営としては、回収が難しくなるかもしれません。

「何をリフォームするか」と同じくらい、「何をリフォームしないか」を決めることが大切なんです。

リフォームの優先順位を決める3つの分類

分類工事例判断のポイント
必要な工事水漏れ、故障、危険箇所の修繕安全と生活に支障がないか
選ばれるための工事設備交換、アクセントクロス、照明入居者が価値を感じるか
優先度を見直す工事高級設備、過剰な全面改装投資額を回収できそうか
空室対策のために築古賃貸物件の間取り変更やリフォーム内容を検討するイメージ
大きな間取り変更や設備交換は、必要性と投資回収の見込みを確認してから判断しましょう。

築古物件は内装リフォームで差がつく

築30年、築40年と聞くと、「もう古いから、設備を全部新しくしないと難しい」と思われるかもしれません。

でも、築古物件には築古物件なりの空室対策があります。私は、古いお部屋を見ながら「どんな人なら、この空間を楽しんでくれるかな?」と考えるのが大好きです。

ここでは、予算を抑えながらお部屋の魅力を高める工夫をお伝えします。

アクセントクロスで印象を変える

白い壁、普通の床、よくある間取り。決して悪いお部屋ではないけれど、似たような物件が何件も並んでいたら、なかなか印象に残らないかもしれません。そんなときに検討したいのが、アクセントクロスです。

例えば、リビングの一面に落ち着いた色を取り入れる。寝室の壁を少し変えて、ホテルのような雰囲気をつくる。色や柄の選び方によって、お部屋の印象は変わります。

ただし、目立てば何でもよいわけではありません。若い単身者が住むのか、落ち着いた暮らしを好むご夫婦なのかによって、選ぶ色も変えたいところです。

アクセントクロスは、大家さんの好みを表現するためではなく、住む人が「このお部屋、好き!」と思える空間をつくるために使ってほしいんです。

キッチンは全部交換しなくてもいい

築古物件のキッチンを見ると、「古いから丸ごと交換しよう」と考える大家さんもいらっしゃいます。でも、まだ十分使えるキッチンなら、扉のシートや取っ手、シングルレバー水栓、照明などを見直す方法もあります。

例えば、暗かった手元に照明を追加するだけでも、料理をするときの使いやすさが変わります。水栓の操作がしやすくなれば、毎日の小さな不便を減らせるでしょう。

もちろん、キッチン本体に傷みがある場合や、水漏れなどの不具合がある場合は、適切な修繕が必要です。でも、使える設備まで全部交換する前に、部分的な改善で十分ではないかを考えてみてください。

ホームステージングで暮らしを伝える

リフォームが終わったお部屋は、きれいだけれど少し殺風景に見えることがあります。そんなとき、テーブルや照明、小物を配置してみると、住んだ後の暮らしがイメージしやすくなります。これがホームステージングです。

例えば、小さなテーブルと椅子を置けば、「ここで朝のコーヒーを楽しめそう」と感じてもらえるかもしれません。寝室なら、ベッドを置いたときの広さや、家具の配置も想像しやすくなります。

お部屋全体に物を並べる必要はありません。入った瞬間に目に留まる場所を一つつくるだけでも、印象が変わることがあります。

大切なのは、家具をおしゃれに並べること自体ではなく、そこで暮らす楽しさを感じてもらうこと。住む人をイメージできれば、必要な家具や小物も選びやすくなりますよ。

空室対策のホームステージングで家具やクッションを配置した賃貸住宅のリビングダイニング
家具や小物で生活をイメージできるようにすることも、賃貸物件の差別化につながります。

14室の空室が満室になった新潟の事例

ここまで、リフォームの費用対効果や部分改修の考え方をお伝えしてきました。では、実際の空室対策ではどうだったのでしょうか。

私が関わった新潟の学生向けアパートの事例をご紹介します。

家賃3万円以下でも決まらない状況

新潟大学エリアにある、A棟18室・B棟10室の学生向けアパート。私が関わり始めたときには、28室のうち14室が空室でした。仲介業者さんからも「3万円以下でもなかなか決まりません」と言われるような状況です。

そんな話を聞いたら、あなたならどうしますか? もっと家賃を下げようか。それとも、3点ユニットをバス・トイレ別にして、大規模なリフォームをした方がいいのか。そう考えてしまうかもしれませんよね。

でも、私は設備工事の前に、こんなことを考えました。

「18歳の新入生は、このお部屋に何があったら住みたいと思うのかな?」

そして、もう一つ大切なことがあります。大学に進学する新入生の中には、親御さんと一緒に内見する方もいるということです。学生さん本人が魅力を感じるお部屋であることはもちろん、親御さんにも安心してもらえることが大切なんです。

必要な設備と募集方法を変えた結果

そこで、高額な間取り変更を最初に決めるのではなく、学生さんと親御さんの両方が価値を感じる部分を考えました。

具体的には、共用廊下の清掃、宅配ボックスや防犯設備の導入、スマートスピーカーの設置、アクセントクロスによる内装の改善などです。さらに、募集写真の明るさや見せ方を変え、募集方法や管理会社についても見直しました。

つまり、「全部を新しくする」のではなく、入居者に喜ばれる部分を選んで改善したんです。

その結果、紹介している事例では、A棟で家賃2.8万円から3.5万円、B棟で2万円から3.8万円への家賃アップにつながりました。9月から年末年始にかけてリフォームや募集準備を進め、春の繁忙期には満室となっています。

B棟では、比較している家賃が約1.9倍になった計算です。ただし、これは個別の事例であり、すべての部屋が同じ金額になったという意味ではありません。また、工事費の総額が分からないため、この事例だけで投資回収期間を算出することもできません。

それでも、ここからお伝えしたいことがあります。

築古だから、地方だから、学生向けだからといって、家賃アップの可能性を最初から諦める必要はないということです。設備だけではなく、誰に貸すのか、どう見せるのか、どう募集するのか。その組み合わせで、物件の魅力を伝えられる場合があります。

大切なのは、家賃アップありきで工事を進めないこと。まずは「なぜ空室なのか」「どんな人に住んでほしいのか」を考えてみてください。そこから、必要なリフォームが見えてきますよ。

工事を決める前に確認したいこと

「費用対効果が大切なのは分かったけれど、うちの物件では何から始めればいいの?」

ここからは、実際に見積もりを取る前に確認してほしいことをお伝えします。順番を変えるだけで、リフォーム費用を抑えられる可能性があります。

誰に貸すのかを具体的に考える

最初に考えてほしいのは、ペルソナ設定です。つまり、どんな人に住んでもらいたいのかを具体的にすること。「20代の単身女性」というだけでは、まだ少し曖昧です。

年齢や職業、収入、通勤方法、帰宅時間、休日の過ごし方、趣味、どんなお部屋を心地よいと感じるか。そこまでイメージしてみてください。

在宅勤務が多い人なら、デスクスペースやインターネット環境。日中に荷物を受け取れない社会人なら、宅配ボックス。新婚夫婦なら、収納や家事のしやすさが大切になるかもしれません。

住む人が変われば、必要な設備もリフォーム内容も変わります。私がこのペルソナ設定を大切にしているのは、住む人が見えてくると、限られた予算をどこに使うべきか考えやすくなるからなんです。

競合物件と家賃帯を比較する

次に、周辺の賃貸物件を見てみましょう。SUUMOやLIFULL HOME’Sなどのポータルサイトで、同じエリア、近い間取り、似た築年数や広さの物件を探してみてください。

家賃はいくらでしょうか。設備は何が付いていますか? 写真は明るく、お部屋の魅力が伝わるものになっていますか?

特に私が確認してほしいのは、一番安い物件と一番高い物件の違いです。

例えば、築30年の2DKでも、4万円台の物件と5万円台の物件があるかもしれません。その違いは、立地なのか、設備なのか、内装なのか、それとも駐車場などの条件でしょうか。

こうした比較をすると、「自分の物件には何が足りないのか」「どんな改善なら家賃に反映できそうか」が見えてきます。ただし、ポータルサイトに掲載されているのは募集家賃であり、必ずしも成約した家賃ではありません。可能であれば、地域の仲介会社に実際の反響や成約状況も確認してみましょう。

工事費と回収の見込みを確認する

最後に、リフォームの見積もりと、改善後に狙える家賃を比較します。

例えば、15万円のリフォームで月7,000円の家賃アップが期待できるなら、単純計算で約1年9か月で回収できる見込みです。ただし、その金額で実際に入居が決まるかどうかは別のお話。最初から家賃アップできると決めつけず、周辺相場や入居希望者の反応を確認しながら判断しましょう。

また、同じ15万円でも、室内の壁紙を全面交換するのか、気になる部分だけを変えて設備を追加するのかで、入居者が感じる価値は違ってきます。工事内容を決めるときは、次の順番で考えるといいですね。

工事前に確認したい5つのポイント
・今の空室が埋まらない原因は何か
・どんな人に住んでもらいたいのか
・競合物件より不足しているものは何か
・改善後はいくらの家賃を狙えそうか
・工事費を何年で回収できそうか

この5つを考えるだけでも、リフォームの見積書の見方が変わってくると思います。正確な工事費や施工の可否は施工会社に確認し、収支計画の最終的な判断は賃貸経営や税務などの専門家にもご相談ください。

今の家賃だけで物件の可能性を決めず、改善したあとにどんな暮らしを提供できるのか。そこまで考えられるようになると、賃貸経営がもっと面白くなりますよ。

空室対策リフォームのよくある質問

最後に、リフォームを検討する大家さんが気になりやすい疑問についてお答えします。

空室対策リフォームのよくある質問(FAQ)

空室対策のリフォームは何から始めればいいですか?

まずは空室が続いている原因を確認しましょう。問い合わせが少ないのか、内見後に選ばれないのかによって、必要な対策は変わります。設備や内装が原因ならリフォームを検討しますが、募集写真や家賃設定が原因なら、工事をしなくても改善できる可能性があります。

リフォーム費用は何年で回収するのが理想ですか?

全国共通の正解はありません。工事内容、設備の寿命、家賃帯、想定入居期間によって変わります。まずはリフォーム費用を毎月の家賃増額分で割り、単純な回収期間を確認してください。そのうえで、空室期間や維持費、修繕費も含めて判断しましょう。

アクセントクロスだけでも空室対策になりますか?

お部屋の印象を変える方法の一つです。ただし、好きな色や柄を選べばよいわけではありません。どんな人に住んでほしいのかを考え、その人が魅力を感じる内装にすることが大切です。写真の見せ方や照明も合わせて検討してみてください。

築古アパートは全面リフォームが必要ですか?

必ずしも必要ではありません。安全や生活に関わる修繕は優先しますが、使える設備まで全部交換する必要があるとは限りません。水栓や照明、床材、壁紙など、部分的な改善で魅力を高められる場合もあります。競合物件と家賃帯を比較して判断しましょう。

リフォームしても家賃が上がらないのはなぜですか?

工事費と入居者が感じる価値は、必ずしも比例しないからです。周辺相場より高い家賃では募集が難しい場合もありますし、工事内容が入居希望者の求めるものと合っていないこともあります。リフォーム前に競合調査と入居者像の確認を行い、家賃に反映できる見込みがあるかを検討しましょう。

まとめ|工事費より大切な判断

今回は、空室対策リフォームの費用対効果と、家賃アップにつなげるための考え方についてお話ししました。

ここまで読んでくださったあなたに、ぜひ考えてほしいことがあります。

これから予定しているリフォームは、誰に喜んでもらうための工事でしょうか?

キッチンを新しくすること、壁紙を貼り替えること、人気設備を追加すること。どれも、必要な工事であれば価値があります。でも、お金をかけること自体が目的になってしまったら、せっかくの投資を回収できなくなるかもしれません。

私はこれまで、築古物件や空室率の高い地域でも、住む人の気持ちを考え、必要な部分を改善することで、満室につながった経験を重ねてきました。だからこそ、大家さんには、空室があるという理由だけで高額なリフォームを決めてほしくないんです。

リフォームで大切なのは、いくらかけるかではなく、どこにお金をかけるか。

設備をすべて新しくしなくても、あなたの物件には、まだ改善できるところが残っているかもしれません。家賃を下げる前にできること、工事をする前に確認したいことを、ぜひ一度考えてみてくださいね。

家賃を下げる前に、できる空室対策を知りたい大家さんへ

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